王子航空緑化工法とは?

航空緑化は、山岳崩壊地、火山の噴火による荒廃地、山火事跡地等の広範な災害跡地にヘリコプターを使用して空中から植生基材を散布施工して土砂流出を抑制する、山腹復元型の砂防工事です。
山岳地帯の多い我国独自の緑化手法として、開発から30数年の施工実績を持ち、世界に類のない画期的な緑化工法です。一方で施工箇所が人目につかない山間部に集中していることから広く一般的に知られる事の少ない工法でもあります。
近年、航空緑化は雲仙普賢岳の山腹の緑化復元を契機に急速な技術改良が進められ、これを成功させたことで、地形・地質に応じて、より早く、安価で大面積の緑化復元が行えるようになりました。
当社の航空緑化の歴史

王子木材緑化(株)の航空緑化の歴史は、昭和46年の比良山(滋賀県)に始まり、松尾鉱山(岩手県)、足尾銅山(栃木県)等の鉱山荒廃地復旧、羊蹄山(北海道)、阿蘇山(熊本県)、雲仙普賢岳(長崎県)等の火山災害地の山腹復元、市房山(宮崎県)木曽御岳山(長野県)恵那山(岐阜県)等の大規模山腹崩壊地等の様々な地形、地質、気象条件による施工経験を重ね今日に至っています。





第1段階 転石や倒木の隙間に種子と肥料を撒布して植物を発芽させます。


この状態の崩壊地は表土が非常に不安定で、表層移動が断続的に生じるため植物がなかなか定着できません。航空実播工はこのような場所に種子と肥料を同時に撒布することで、植物の初期成育を促進して植物の早期導入を図ります。
この時期の施工は浮石等に付着しないODA半湿式工法が
適しています。


第2段階 定着した植物の肥培を行います。


崩壊地の土壌は栄養分の保持力が低いため、航空追肥工により不足した肥料成分を補給し、定着した植物を育てます。植物の生長に伴い株元に土砂や落ち葉が堆積し、浮石が安定して表層移動が減少します。
この時期の施工は植物の定着量に応じて、航空追肥工や半湿式追播工法が適しています。


第3段階 木本や在来植生の回復を促します。


この時期の崩壊地は浮石の間に土砂や落ち葉が堆積した天然の植物基盤層が形成され始めています。表土の移動が安定すると周辺の森から飛来または、追播した木本の種子が発芽し始めます。
この時期の施工は、木本種子を中心としたODA工法や追肥工法が適しています。


第4段階 樹林化を誘導します。


この時期の崩壊地は、草本植物の根系が発達し表土の移動はありません。植生は草本の中から木本類が各所から頭を出した状態になっています。崖錘堆積地では、根域の深い木本類の導入により土砂の移動が抑制され緑の砂防ダムが完成します。
この時期の施工は木本類の肥培を促進する成分追肥(森林施肥)が適しています。


■湿式工法(スラリー工法)pat.


王子木材緑化株式会社では、パルプ系スラリーを用いたOF工法と団粒系スラリーを用いたOWA工法を実施しています。

□パルプ系スラリー工法(OF工法)

紙の原料となるパルプ・粉砕古紙の繊維を、展着養生材として使用し、種子や肥料・土壌改良材を斜面に付着させる技術です。

□団粒系スラリー工法(OWA工法)pat.

良質な稔性土と木材樹皮繊維を展着養生材として使用する、改良型スラリー工法です。パルプ系スラリーに比べ、乾燥時の収縮剥離が少なく、急傾斜地域での施工性が向上したほか菌根菌の応用により初期の容出養分値を抑制することで、本来貧しい土壌で発芽生育する木本類や郷土種等の塩類ストレスを受けやすい種子の発芽安定性を向上させました。

■半湿式工法(ODA工法)pat.


航空緑化適用地の多様化の中で、地表多くの転石や倒木、残焼木等の植生障害物が多在するする状況下で効率的な植生を導入することを目的に開発された当社独自の新型工法です。大量の水を使用するスラリー工法に比べ、少ない水量で施工できる半湿式工法は施工経費が大幅に抑制できる利点を生かし、現在は火山跡地や崖錘推積部や火山砂防のガリー抑制、追播工等の幅広い場面での需要が高まっています。

□半湿式集中投下工法(ODA島状工法)pat.

岩盤と土砂溜まりが混在する場面や尾根筋等の乾燥害が生じやすい地形での初期植生の導入を図る工法です。厚みを持った生育基盤材の造成が可能で、高い活着性を持つため、難易度の高い部位での活用に効果を発揮します。本工法は、初期に定着した島状植生を追播・追肥工を反復施工することで肥培・拡大させながら安定した面状植生へと誘導します。

■乾式工法(KP工法)pat.


□種子KP工法 pat.

特殊加工した袋に粒状化した団粒化土壌、有機質、種子、肥料、VA菌根菌、保水材等を詰め、これを特殊バケットでヘリから投下する新工法です。投下した基盤材(袋)には厚みがあり、悪条件に対する適応性が高い工法で点ないし島状に生育させた植生拠点間に自然植生の進入を促す工法です。

□苗KP工法 pat.

粒状化した団粒化土壌を培土にVA菌根菌を接種した苗木を特殊保護材で、装備し、これをヘリから投下する新工法です。着根した苗木は実生に比べ数倍の初期成長が確保できます。

■追肥工法



■航空簡易基礎工法(OCM工法)pat.


特殊加工したウッドチップ、樹皮繊維、軽量骨材、セメント等を水でモルタル状にしたものを特殊バケットでヘリから投下し、土砂移動をおさえる簡易基礎工法です。特殊骨材の使用等によりモルタル比重を40%程度軽減したことにより低コスト施工が可能となりました。